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低温センターのご紹介
はじめに
液体窒素、液体ヘリウムの寒剤の安定供給を行うのがここ低温センターの主な役割です。それぞれの液体の温度は77.3 K (-196℃)、4.2 K (-269℃)であり、それらを保存、精製するための設備があります。 私たちが通常生活している世界の温度は絶対温度にして約300 Kですが、低温の世界では、熱エネルギーが小さくなるため、常温とは大きくことなった興味深い現象が起こります。たとえば、電気抵抗がゼロになる「超伝導」、そして、液体ヘリウムの粘性がゼロになるヘリウムの超流動などです。また、鉄、ニッケル、コバルトなどは常温で磁石の性質をもちますが、低温ではもっと多くの物質がそのような性質をもつようになります。このような、低温で起こる現象の機構の解明、さらに4.2 Kよりも低温での実験にはこれらの寒剤が不可欠になります。また、液体窒素は生体材料の保存等としても広く利用されています。
お知らせ
- 2021/04/01 : 液化機系統が更新され、新しい液化機による運用がスタートしました。
寒剤の利用状況
○供給状況
○利用講座 (2021年度)
薬 剤 | 学科・専攻 | 講座数 |
液体ヘリウム | 物質科学専攻 | 6 講座 |
生命科学専攻 | 0 講座 | |
液体窒素 | 物質科学専攻 | 11 講座 |
生命科学専攻 | 9 講座 |
施設
液化機
- 液化機(右)
- Linde社製 L70 : 2タービン型, 液化能力 60 L/h(純Heガス使用時)
- 液体He貯槽(左)
- wessington cryogenics社製 CH-1000, 貯槽能力 1000 L
液体窒素タンク
- セイカエンジニアリング
- CE-10,000-M
- 内容積 10,000 L
貸出可能備品
低温センターでは、学内研究室向けに以下のものを貸し出しています。借入の希望がありましたら気軽にご連絡ください。
液体ヘリウムは沸点4.2 K (-269℃) で一般に使われる寒剤としては最も沸点が低い。また、不活性、不燃性できわめて安定した気体である。原子量が小さく、原子間力が非常に弱く、また、ゼロ点振動の振幅が大きいため約25気圧以下ではいくら温度を下げても固体になることはない。4Heは地殻中でウランなどのα崩壊によって発生し、地表に出てくる際に天然ガス田に集積する。日本は採掘することができないため、すべても輸入に頼っている。兵庫県立大学では、他の大学と同様に、寒剤として利用され、蒸発したHeの気体を回収し、低温センターに数十気圧にして蓄え、再び液化する方法をとっている。 液体窒素は沸点が77 Kで低温実験の寒剤、また熱流入を防ぐ補助寒剤として使われている。沸点と凝固点(63 K)が近いために減圧して温度と下げるとすぐに白色の固体になる。空気を液化、分留して酸素ガスを製造する際に副産物として大量に得られる。兵庫県立大学では酸素会社から購入しており、月2回程度タンクローリーで運搬されたものを液体窒素タンクに蓄え、各研究室に随時供給している。 ある温度(臨界温度)以下では気体を急激に膨張(断熱膨張)させると気体の温度が下がる。これを Joule-Thomson効果といい、これによって液化を行う。一般に温度と圧力が決まるとその気体分子の運動エネルギーが決まる。この気体を小さな穴を通して低圧側に噴出すと、分子間の平均距離は大きくなり、気体は分子間力に逆らう運動をするため、気体のポテンシャルエネルギーは上がり、その分、運動エネルギーは減少し、気体の温度は下がる。 兵庫県立大学のヘリウム利用講座では主にスーパーインシュレーション方式の容器を使用している。高真空層の中に銅製のシールド板が設けられ、この部分は蒸発するガスによって冷却されるようになっている。これを複数枚設置することで輻射熱の流入を減らすことができる。さらに、液槽の外側にアルミマイラーと和紙のような断熱材を交互に何重にも巻き付け熱の流入を防ぐ工夫がなされている。 液体窒素,また,汲み出しの際に吹き出す蒸発ガスは非常に温度が低いため,皮膚に触れると低温火傷の危険性がある.また,それらが直接触れる金属の部分に皮膚が接触すると,その表面の水分が凍りつき,離れなくなってしまう恐れがある.軍手は噴出した液体が繊維の間にしみこんでくるので使用は避ける。 容器から液体窒素があふれ,ガラス,床にかかると,それらが割れることがある.また,換気が悪い部屋の場合,酸欠状態になり,窒息する恐れがある. 一般に液体から気体になると体積は急激に大きくなる.実際に4Heでは700倍,N2では644倍になる(0℃,
1atmの気体と液体の体積比).そこで,保存容器は気体の逃げ口を確保し,密閉状態で放置してはいけない. これまでに発行した低温センターだよりのpdf版です。 〒678-1297○ 温度センサー
○ 温度コントローラ― Lake Shore社製 335型
○ 液体窒素ベッセル
○ 液体ヘリウムベッセル HELIOS 100A 100 L 2台
○ ターボ分子ポンプユニットPFEIFFER TurboCubeシリーズ
○ ヘリウムリークディテクター ANELVA HELENシリーズ
○ ハンディヘリウムリークディテクター Edwards Gascheck G3
○ 超音波はんだごて セラソルザ
寒剤について
4He
N2
気体の液化方法
寒剤の保存方法
4He
N2
分子量
4.003
28.01
沸点(1atm) [K]
4.215
77.35
液体密度(沸点) [g/cm3]
0.125
0.804
ガス密度(1atm, 0℃) [g/L]
0.179
1.250
4He
N2
沸点での蒸発潜熱 [J/g]
20.91
199.1
臨界温度 [K]
5.195
126.1
臨界圧力 [atm]
2.25
33.5
寒剤の取扱注意事項
革手袋を着用する。
トランスファー時に容器から離れない。
気体の逃げ口を確保する
低温センターだより
- お問い合わせ先 -
兵庫県赤穂郡上郡町光都3丁目2番1号 兵庫県立大学理学部 低温センター
助教(兼務): 山根 悠
職員: 三枝 和史
TEL&FAX : 0791-58-0130