兵庫県立大学 学部・大学院 物質科学専攻 生命科学専攻

理念と教育目標

理念と教育目標

理念と教育目標 Educational Ideal

理念と教育目標

理学研究科の理念と教育目標

 本学理学部では、学際的な研究と教育をめざして、従来の数学、物理、化学、生物、地学、情報科学などの限られた専門分野の学科ではなく、物質科学と生命科学を2本の柱とする物質科学科と生命科学科を設置している。本研究科では本理学部の理念と特色を継承して、物質科学専攻と生命科学専攻を設置し、限られた専門分野の枠組みにとらわれない学際的な知識と柔軟な思考を培うための教育課程を編成して、最先端の研究に取り組める人材を育成する。

物質科学専攻の理念

教員による世界をリードする研究成果に基づいた
レベルの高い大学院教育

 近年の著しい物質科学の進歩により、我々を取り巻く物質は多岐に及んでいます。新奇物質が発見されるとすぐに身の回りの生活のみならず、あらゆる分野の研究に利用され、人類の生活のみならず、価値観、倫理観などにも著しい影響を与えております。物質科学の発展は、その基礎となる現象、すなわち物質の性質発現を、その構成要素である分子・原子・電子の挙動の理解なくして成り立ちません。当専攻では、従来の数学、物理学、化学などの一般的分類にとらわれず、学際的な組織及びカリキュラムを実現し、境界領域において実力の発揮できる研究者と技術者を育成していきます。また、生命科学専攻とも連携をとり、高い専門性を実現するとともに、研究分野の幅の広がりをも可能にしています。さらにSPring-8 など他研究機関・組織の優れた研究者を連携・協力講座に招き、教育研究の一層の充実を図っています。本来、科学は世界共通のものですが、世の中のグローバル化にともない、ますます国際性をそなえた技術者・研究者の輩出が期待されます。教員による世界をリードする研究成果に基づいたレベルの高い大学院教育を行います。

物質科学専攻の研究・教育目標

物質科学の基礎から応用までの有機的関連を理解できる
研究者、技術者の育成

 本専攻では、物質を構成する分子・原子・電子の構造・挙動に基礎を置いた物性と反応に関する高度の教育研究を行うために、従来の伝統的な学問分野とは異なる4大部門を設置し、教育・研究内容に基づいて教員をそれぞれの部門に配置しています。物質のもつ物性発現の解明のための物理数学的手法および実験的手法の開拓、物性を最適に発現させる制御、さらに物性を担う物質の設計、創製にわたる教育研究を行い、物質科学の基礎から応用までの有機的関連を理解できる研究者、技術者の育成を目指しています。また、教員が互いに緊密な連携を取ることにより、さらに総合的な教育、研究を実現しています。

生命科学専攻の理念

基礎生命科学の進歩に貢献すべく、
SPring-8 なども活用した幅広い教育・研究を推進

近年の著しい生命科学の進歩は人類の生活のみならず、価値観、倫理観などにも著しい影響を与えております。すなわち、人類の未来は生命科学の進歩にかかっているといっても過言ではありません。生物の単位は細胞ですが、細胞の機能を明らかにするためにはそれを構成している細胞小器官、超分子、分子、ひいては原子のレベルにおける理解が必要です。さらに、生物を理解するためには細胞間の相互作用のしくみを明らかにすることも必要です。このような基礎生命科学において得られた成果は医学、農学などの応用分野の進歩にも大きい影響を与えます。当専攻では、基礎生命科学の進歩に貢献すべく、SPring-8 なども活用した幅広い教育・研究を推進しています。本来、科学は世界共通のものですが、世の中のグローバル化にともない、ますます国際性をそなえた技術者・研究者の輩出が期待されます。教員による世界をリードする研究成果に基づいたレベルの高い大学院教育を行います。さらに、当専攻では生物の生活の場である地球表層部に関する物質の分布、構造、移動に関する教育・研究も行います。

生命科学専攻の研究・教育目標

「細胞生物学が分かる構造生物学研究者」、
「構造生物学が分かる細胞生物学研究者」の育成

 本専攻では教員による世界をリードする研究成果に基づいたレベルの高い大学院教育をめざしています。平成14 年に文部科学省21 世紀COE の拠点に採択され、「構造生物学を軸とした分子生命科学の展開」を行いました。この時、「細胞生物学が分かる構造生物学研究者」と「構造生物学が分かる細胞生物学研究者」の育成を目標としました。平成19 年にはグローバルCOEの拠点に採択されました。21 世紀COE の理念をさらに発展させ「ピコバイオロジー:原子レベルの生命科学」の展開を行っております。ピコバイオロジーとは当専攻でつくられた生命科学の全く新しい学問分野です。原子、分子、超分子、細胞、細胞間相互作用に関する教育を行い、世界をリードする研究者、技術者の育成を目指します。また、地球・惑星表層部から深部に至る物質の分布・構造・移動に関する研究を行っている教員が、その国際レベルの研究成果に基づいた教育を行います。博士前期課程においては、広い視野に立って研究能力または高度の専門性が求められる職業を担うための能力を備えた人材を育成することを目指します。博士後期課程においては、自立して研究活動を行うことができる研究者または高度に専門的な業務に従事できる能力を備えた人材の育成を目指します。

ディプロマポリシー

本研究科における教育体系を実行し、目指す人物像を養成する教育を行うため、以下のようにディプロマポリシーを定め、学生を教育し研究を指導する。

本研究科では、自然科学の諸分野の境界領域においても研究を推進できる研究者や各界のリーダーとして活躍できる下記に示す能力を身につけた学生に学位を授与する。

 1. 物質科学、生命科学あるいは地球科学の分野において真理の探求と知の創造を重視した独創的かつ先駆的な基礎研究を推進する能力を身につけている。(DP1)
 2. 自然科学全般についての広い視野と高度の専門知識を基に世界的レベルの研究を遂行し、かつ得られた結果を世の中に正しく発信する能力を兼ね備えている。(DP2)
 3. 物質科学、生命科学あるいは地球科学分野の研究を遂行する上で必要な高い倫理観を身につけている。(DP3)

以上の能力を具体的に示すと、専攻・教育課程ごとに以下の能力を身につけていることを必要とする。

物質科学専攻

博士前期課程

 1. 物質科学に関するそれぞれの分野における高度の専門知識を体系的に理解できている。(DP4)
 2. 物質の物性を理解する数学的手法、物性発現の制御、物質の設計や創製の手法を修得し、得られた実験結果を正しく評価・判断する能力を身につけている。(DP5)
 3. 物質科学分野の研究を遂行する上で必要な高い倫理観を身につけている。(DP3)

博士後期課程

 1. 物質科学の分野において、研究者として自立して研究を遂行する意欲及び実験技術を身につけている。(DP14)
 2. 自身及び専門分野の他の研究者による研究成果を客観的に正しく評価・判断する能力を身につけている。(DP15)
 3. 研究者としての立場から、基礎科学についての高度な専門性と学際的領域への関心から得られた知見を一般人にわかりやすく伝えて社会に役立てることができる。(DP16)
 4. 自身の専門及び関連の分野において、解決すべき課題を自ら発掘する力を身につけている。(DP17)

フォトンサイエンスコース

物質科学専攻博士前期・後期課程のディプロマポリシーに加えて、博士前期・後期課程を通して下記の能力を修得していることを必要とする。

 1. 物質科学の高度な専門能力と最先端大型研究装置の開発・管理能力を身につけている。(DP31)
 2. 社会において物質科学が果たすべき役割を深く認識し、確固たる価値観と広範な俯瞰力、さらには高い国際的コミュニケーション能力やマネジメント能力など、産官学を通じた幅広い分野で活躍するリーダーにふさわしい素養を備えている。(DP32)

生命科学専攻

博士前期課程

 1. 生命科学あるいは地球科学の専門分野における基礎的な専門知識を体系的に理解できている。(DP6)
 2. 生命科学あるいは地球科学の基本的原理を解明することに意欲と関心をもち、そのための様々な最先端の実験手法を修得し、得られた実験結果を正しく評価・判断する能力を身につけている。(DP7)
 3. 生命科学あるいは地球科学分野で研究を遂行する上で必要な高い倫理観を身につけている。(DP3)

博士後期課程

 1. 高度な専門知識を通して、専攻分野での研究者として自立して世界的レベルの研究を遂行する能力と、次世代を担う大学生や大学院生を正しく教育指導する力を身につけている。(DP24)
 2. 自身及び専門分野の他の研究者による研究成果を客観的に正しく評価・判断する能力を身につけている。(DP25)
 3. 研究者としての立場から、基礎科学についての高度な専門性と科学の境界領域への関心から得られた知見を、一般人にわかりやすく伝えて社会に役立てることができる。(DP26)
 4. 自身の専門及び関連の分野において、解決すべき課題を自ら発掘する力を身につけている。(DP27)

ピコバイオロジーコース

生命科学専攻博士前期・後期課程のディプロマポリシーに加えて、博士前期・後期課程を通して下記の能力を修得していることを必要とする。

 1. 生命科学の高度な専門能力と最先端大型研究装置の開発・管理能力を身につけている。(DP41)
 2. 社会において生命科学が果たすべき役割を深く認識し、確固たる価値観と広範な俯瞰力、さらには高い国際的コミュニケーション能力やマネジメント能力など、産官学を通じた幅広い分野で活躍するリーダーにふさわしい素養を備えている。 (DP42)

カリキュラムポリシー

物質科学専攻

物質科学専攻は、数学、物理学、化学などの一般的分類にとらわれず、物質科学専攻の1専攻を設けている。また、生命科学専攻とも連携を取り、高度の専門性を実現するとともに、研究分野の幅の広がりをも可能にし、さらに他研究機関・組織の優れた研究者を連携・協力講座に招き、教育研究の一層の充実を図っている。

物質科学専攻博士前期・後期課程には、物質の原子的・分子的構造に基礎を置いた物性と反応に関する高度の教育研究を行うために、従来の学問分野にとらわれない4大講座(物質基礎解析学、物質機能解析学、物質構造制御学、物質反応解析学)が設置されている。物質のもつ性質(=物性)発現解明のための物理数学的手法の開拓、 物性を最適に発現させる制御、さらに物性を担う物質の設計、創製にわたる教育研究を行い、物質科学の基礎から応用までの有機的関連を理解できる研究者、技術者の育成を目指したカリキュラムとしている。

博士前期課程

 1. 各専門分野における基礎的な専門知識を体系的に理解させることを目的に、発展的専門科目に関する授業を原則として午前中に開講する。またより専門性の高い外部講師によるセミナーが随時開催される。学生は、自主的にこれらに参加する。(CP11)
 2. 個々の学生は独自の研究課題を与えられる。研究課題の遂行を通して、それぞれの分野における高度の専門知識を身につけさせる。(CP12)
 3. 国内外の学会に参加させ、研究発表を行う能力を身につけさせる。(CP13)
 4. 各研究室において特別演習として専門原著論文の精読と発表による勉強会等で専門知識の習得を充実させるとともに、研究を遂行する上で必要な研究倫理についての教育を行う。(CP14)
 5. 学部生等の研究指導補助を通して教育指導能力を修得させる。(CP15)

博士後期課程

 1. 高度な研究課題を特別実験として与え、教員と協力してその課題における未解決な問題を解決する。その過程において研究者として自立するための高度な実験技術、専門知識および研究能力、困難に立ち向かう精神を養う。また研究成果を倫理的かつ客観的に評価できる能力を身につけさせる。(CP16)
 2. 国内外の学会に参加・発表させるとともに、研究論文を作成し、発表できる能力を身につけさせる。 (CP17)
 3. 研究状況を把握するために、2年次、3年次に開催される中間報告会を必修とする。(CP18)
 4. 学位取得のための審査会における主査は、原則として指導教授が務める。(CP19)

フォトンサイエンスコース

 1. 物質科学の高度の専門能力と最先端大型研究装置の利用・開発・管理能力を身につけるために、放射光X線(SPring-8)、X線自由電子レーザー(SACLA)、振動分光、電子顕微鏡、計算機を駆使した充実した装置実習を必修科目とする。これらを通して世界最高レベルのフォトンサイエンス技術を身につけ、その技術を駆使して物性の本質を解明する高度の研究能力を持った人材を育成する。(CP31)
 2. 物質科学分野での先端研究状況を把握するため、オムニバス形式で、専任教員が各々の研究の最前線について論ずる「フォトンサイエンス特論」を必修とする。(CP32)
 3. 国内外の他の研究グループとの交流や、定期的に開催する研究成果発表会への参加を必修とし、多様な視点から討論を行うことにより高度な俯瞰力と確固たる価値観の形成を図る。(CP33)
 4. 産学連携実践講座を必修とし、高い国際的コミュニケーション能力やマネジメント能力など、産官学を通じた幅広い分野で活躍する人材にふさわしい素養を養う教育を行う。(CP34)

生命科学専攻

生命科学専攻は、本学理学部の教育理念を基礎として、生物学、生化学、生物物理学、地学などの一般的分類にとらわれず、生命科学専攻およびピコバイオロジー専攻の2専攻を設け、また、物質科学専攻とも連携を取り、高度の専門性を実現するとともに、研究分野の幅の広がりをも可能にし、さらに他研究機関・組織の優れた研究者を連携・協力講座に招き、教育研究の一層の充実を図っている。

生命科学専攻博士前期・後期課程には、従来の学問分野にとらわれない4大講座(生体物質構造解析学・生体物質機能解析学、細胞機能解析学、地球環境科学)が設置されている。生体物質の構造と分子的機能、および細胞内における機能発現と制御に関する実験的・理論的教育研究とあわせ、生命を宿す場としての地球環境に関する教育研究を行い、自然に対する複合的な視点をもった研究者、技術者の育成を目指したカリキュラムとしている。

博士前期課程

 1. 各専門分野における基礎的な専門知識を体系的に理解し、新しい課題解決に関心を示させることを目的に、30の発展的専門科目を1年次と2年次の午前中に開講する。(CP21)
 2. 個々の学生に独自の研究課題を与え、1年次と2年次の午後に各研究室において、特別実験として実験技術の習得と得られたデータの解析法や結果の考察法を指導する。(CP22)
 3. 各研究室において特別演習として専門原著論文の精読と発表による勉強会等で専門知識の習得を充実させるとともに、研究を遂行する上で必要な研究倫理についての教育を行う。(CP23)

博士後期課程

 1. 高度な研究課題を特別実験として与え、教員と協力してその課題における未解決な問題を解決する過程において研究者として自立するための高度な実験技術と専門知識および研究能力、さらには研究成果を倫理的かつ客観的に評価できる能力を身につけさせる。また、学部生等の研究指導補助を通して教育指導能力を修得させる。(CP24)
 2. 幅広い専門知識や技術を身につけると同時に、専門外の研究習慣や研究生活への関心を育むため、各学生が所属する研究室とは異なる分野の本学の研究室、あるいは国内外の他機関の研究室での研究生活を体験させる「短期留学」を必修とする。(CP25)
 3. 異なる視点からの判断を養うため研究室の主任指導教授に加えて異なる分野の教員を副指導教員と定めて集団体制での指導を行う「グループ指導」を必修とする。(CP26)
 4. 学位取得のための審査会の主査は、主任指導教授以外のグループ指導教員から選出する。(CP27)

ピコバイオロジーコース

 1. 生命科学の高度の専門能力と最先端大型研究装置の利用・開発・管理能力を身につけるために、放射光X線(SPring-8)、X線自由電子レーザー(SACLA)、振動分光、電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、計算機等を駆使した充実した装置実習を必修科目とする。これらを通して世界最高レベルのフォトンサイエンス技術を身につけ、その技術を駆使して生命現象の本質を解明する高度の研究能力を持った人材を育成する。(CP41)
 2. 生命科学分野での先端研究状況を把握するため、オムニバス形式で、専任教員が各々の研究の最前線について論ずる「ピコバイオロジー特論」を必修とする。(CP42)
 3. 副指導教員を定めて「グループ指導」を行う。(CP43)
 4. 産学連携実践講座を必修とし、高い国際的コミュニケーション能力やマネジメント能力など、産官学を通じた幅広い分野で活躍する人材にふさわしい素養を養う教育を行う。(CP44)

アドミッションポリシー

本研究科の理念と研究・教育目標を十分に理解し、以下の専攻ごとのアドミッションポリシーを満足する意欲的な学生を求める。

物質科学専攻

 1. 数学、物理学、化学、情報科学などに関する基礎的な知識をもつとともに、英語の読解力や英語・日本語のコミュニケーション能力を備えた人 (AP1)
 2. 新物質の創製技術の修得とその応用に意欲と関心を持つ人 (AP2)
 3. 物質の物理・化学的性質の解明とその潜在的な機能探索に有用な新しい実験手法の修得と開発に意欲と関心をもつ人 (AP3)
 4. 物質の物理・化学的性質や潜在的機能を解明するための理論及び計算手法の修得と開発に意欲と関心をもつ人 (AP4)

生命科学専攻

 1. 生物学、化学、物理学、数学、地球科学などに関する基礎的な知識をもつとともに、英語の読解力や英語・日本語のコミュニケーション能力を備えた人 (AP5)
 2. 生命現象の原子・分子・超分子複合体・細胞・個体レベルにおける研究や実験手法の修得に意欲と関心をもつ人、又は、地球・惑星表層部から深部に至る物質の分布・構造・移動の研究や実験手法の修得に意欲と関心をもつ人 (AP6)
 3. 得られた実験データの基礎的な処理方法を修得しており、さらに高度な評価・解析・考察方法の修得に意欲をもつ人 (AP7)

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