兵庫県立大学大学院理学研究科 物質科学専攻 物質構造制御学部門
理学部 物質科学科
構造物性学講座

Exploring New Frontiers of Functional Coordination Chemistry
from Molecules to Supramolecular Ensemble

機能性多核金属錯体の結晶化学

[5] 放射光を利用した過渡的・極限状態の単結晶構造解析法の開発と多核金属錯体結晶への適用

X線結晶構造解析は、金属錯体の物性や電子状態を評価考察するために必要な、配位環境や立体構造を直接正確に知る基本的な分析手段です。我々の研究室では、高輝度放射光源(SPring-8)を利用し、結晶相における光励起状態や、光化学反応遷移状態など短寿命の化学種の立体構造を結晶構造解析法で明らかにすることを目指しています。また、圧力により分子構造と物性が変化する分子性多核金属錯体の高圧単結晶構造解析法の開発も進めています。

[6] 発光性多核金属錯体の合成と構造-発光挙動相関の結晶化学

d10電子配置を持つ一価の貨幣金属 (金、銀、銅) イオン同士をハロゲンあるいはイオウ原子で架橋した、金属クラスター骨格をもつ多核金属錯体には、紫外光照射により可視光領域に強い発光を示す化合物が知られています。クラスター骨格はイオン結合の性質をもち、圧力や温度などの外場の変化、配位子の化学修飾などにより、結晶中で分子が柔軟に変形し、これに対応して光物性が変化するユニークな性質を備えています。これらの柔軟な内部構造を持ち、フォトルミネッセンスを示す分子性の多核金属錯体について、結晶中で圧力や温度に応答して発光エネルギー等の光物性が変化する機構を結晶化学的手法などにより解明するとともに、発光状態を制御できる物質の開発を目指しています。

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