種子発芽時における貯蔵物質分解系の発現機構の解析

 種子の形成は、受精、胚形成、貯蔵物質の蓄積、乾燥化という過程を経て行われます。このようにして形成された乾燥種子は休眠していますが、吸水し、適当な環境が揃うと発芽します。この発芽時には種子中の貯蔵物質は分解され、芽や根の成長に利用されます。これらの一連の過程には植物ホルモンであるアブシジン酸とジベレリンが関与していることがよく知られています。
 種子発芽時に貯蔵タンパク質分解を担っているプロテアーゼの遺伝子発現はアブシジン酸で抑制され、ジベレリンで活性化されます。イネなどの単子葉類の種子を用いて、この調節機構についてよく研究が進められています。私たちもイネの種子発芽時に発現するプロテアーゼ遺伝子の発現を調節する転写因子について研究を進めています。それに対してマメ科などの双子葉類種子において発芽時に発現するプロテアーゼ遺伝子に関する研究は、あまり進んでいません。
 私たちはインゲンマメを実験材料にして、種子発芽時に発現するプロテアーゼ遺伝子に関与する転写因子の解明などに取り組んでいます。そして、これらの研究成果からアブシジン酸とジベレリンという2種類の植物ホルモンによる制御機構を解明しようと取り組んでいます。








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