分裂準備帯の形成機構と機能の解析

 分裂準備帯(preprophase band)は高等植物の体細胞分裂の分裂面挿入位置を決定する微小管でできた装置です。 この装置はG2期に出現し、前期に完成しますが、核膜崩壊前後に消失します。しかし、この装置が存在した位置になんらかの位置情報が残され、 細胞分裂の最後で、確実に細胞板はこの位置に向かって伸長します(図)。

 我々は、
 (1)どのようにして微小管が将来の分裂面の位置に分裂準備帯として並ぶのか、
 (2)分裂準備帯が消失した後に残るメモリーは何か、また、そのメモリーの蓄積機構は何か
を明らかにすることを目的として研究を行っています。

 これらに関連する分子として、アクチン、CDK、また、関連する現象として、エンドサイトーシスがあることを見つけており、 それらの役割について解析を行っています。

分裂準備帯と細胞板形成

図の説明:タマネギ根端分裂細胞の分裂準備帯(左)と細胞板形成(右)。
終期に出現する細胞板は、前期に分裂準備帯が存在していた位置に向かって伸長する。



Mineyuki Int. Rev. Cytology, 187, pp.1-49, 1999
峰雪 細胞工学 別冊 植物細胞工学シリーズ13"植物細胞の分裂" pp.83-91, 2000
Karahara et al., Molecular Regulation of Endocytosis pp.41-60, 2012




公立大学法人兵庫県立大学 大学院生命理学研究科