微生物セルロース合成機構の解析

 セルロースは植物細胞壁の主成分で紙をはじめとした様々な分野で応用されています。このセルロースは植物だけではなく、動物、藻類、糸状菌、細菌に至る様々な生物が合成することがすでに知られています。しかしながら、どの生物に対しても、いまだセルロースの合成機構は完全に理解されていません。
 そこで、我々はセルロースを合成する細菌の一種であるGluconacetobacter xylinus(酢酸菌)を研究対象として、セルロース生合成機構の解明を目指しています。
 セルロース合成には、様々なタンパク質が関与することが明らかにされていますが、セルロースを合成する際に、セルロースを分解する酵素が利用されることが明らかとなっています。現在は、このセルロース合成時に関与するセルロース分解酵素に着目して研究を進めています。


酢酸菌のセルロース

図の説明:酢酸菌の合成するcelluloseの電子顕微鏡写真。
(A、D)野生株の合成するセルロース繊維。Aの四角で囲んだ部分の拡大が D。
(B、E)セルロース分解酵素遺伝子破壊株の合成するセルロースと思われる繊維。Bの四角で囲んだ部分の拡大が E。繊維が高頻度に捩れたように見える。
(C、F)セルロース分解酵素遺伝子破壊株に、野生株のセルロース分解酵素遺伝子を戻した遺伝子補完株の合成するセルロース繊維。Cの四角で囲んだ部分の拡大が F。捩れていた繊維がなくなり、野生株と同じようなセルロース繊維を合成している。
 スケールバーはA、B、Cが共通で 400 nm、D、E、Fが共通で 200 nm。






公立大学法人兵庫県立大学 大学院生命理学研究科