研究テーマ

本研究センターは下記のような「1桁上の多重極限条件」を目指します。

1.熱力学的極限

(1) 高圧力

現在:X線回折実験は100K,180GPaまで,ラマン分光実験では100K,300GPa領域まで達成しています。
目標:それぞれ10K,200GPaと10K,400GPa領域までの実験技術の確立を目指します。

(2) 低温

現在:10mKまでの低温下で実験研究を行っています。
目標:SQUIDを用いた超低温下精密測定技術の高度化を図り,1mK以下での物性測定を目指します

(3) 多重極限(低温・高圧力・高磁場)

現在:1.5K, 20GPa, 8T 多重極限条件の核共鳴散乱への最適化を行いました。
目標:100mK以下での測定を可能とし,基礎物性確立を目指します。

2.時空間的極限

(1) 実空間

現在:数100 nmの集光スポットを用いて,微小部X線分析を展開しています。
目標:新規X線レンズの開発により,10 nmレベルの集光サイズの実現を目指します。

(2) 複合空間(実空間と角度空間)

現在:1.0 µm(H)×0.4 µm(V)の集光サイズで40 µrad(H)の微小発散角を実現しています。
目標:サイズと発散角の積はすでに理論的極限に達しています。目的に応じてサイズと発散角のいずれかの先鋭化を図ります。

(3) 実時間

現在:時間精度ピコ秒で放射光と同期できる可視光反射率測定システムを整備し、時間分解能50 psをもつX線回折測定を行いながら、光物性をモニターできる装置を製作中です。
目標:白色フェムト秒光源を開発し、フェムト秒X線光源と組み合わせることにより、時間精度百フェムト秒で、X線-白色光同時測定装置の実現 を目指します。

(4) 界面

現在:有機半導体/金属界面の新しい測定手法(蓄積電荷測定法)を開発しいてます。
目標:0.01 eVの精度で電荷注入障壁を決定します。

既存の極限状態発生装置や試料作成技術の高度化を進め,本理学部の低温センターや大型放射光施設SPring-8等を活用して,超高圧下の固体水素や固体酸素の構造相転移と金属化の研究,希土類・遷移金属化合物の高圧力下での構造と磁性の研究,重い電子系物質における超伝導と磁性の共存競合現象の研究,半導体材料の微小領域での高精度結晶歪み評価などを展開します。

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