「多様体論」と「コホモロジー論」における研究の現状

上でも述べましたが、数学では現在その各方面において非常に たくさんの種類の「多様体」や「コホモロジー」が知られています。 実はその種類についても 未だに新しいもの が次々と発見され続け ているのです。これは各方面において「多様体論」や「コホモロジー論」 といったものが如何に有効であるかということを示す 証拠ともいえましょう。

しかも驚くべき事に、この理論と技術は各方面で大革命を起こす度に、 その機能も強化され、まったく関連のないと思われている別々の分野 の統合をもたらし続けているのです。さらにその上、たくさんの 新しい興味ある問題をも次々と提供しながら成長をつづけているという のが現状です。その点でまだまだ 若い生命力 に恵まれた数学の研究課題 であるともいえましょう。

かつてニュートンやライプニッツが「微分積分」を発見して以来、 その理論の進展と応用が同時に並行して行われていたようなことが ここでも起きつつあるのです。ついでにその「積分」も実は 「コホモロジー」が姿を変えて現れたものという見方ができることを 補足しておきましょう。

なおこれらと関連して、近年注目を浴びつつある興味深い数学的な 現象として次のようなことがあります。「多様体」のなかでも、 より高度な構造を内に秘めた「多様体」ほど、類似の構造を持つ 「多様体」どうしが自然に寄り集まり、「モジュライ」と呼ばれる 新しい大きな「多様体」を作り、それ自体が再び非常に精密な構造 を持つということが各方面で観察されているのです。 こういった研究は「コホモロジー」なしでは非常な困難をともなう ものなのです。


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