数千年の昔から、多くの人たちが円周率に興 味を持って、その本当の値を知ろうと努力し しました。中には、その計算に一生をかけた 人もいます。 とりあえず1000桁ほど岩波の「数学辞典」 (第三版)P.1434から抜き出してみましょう。 (この数字の並びから 音楽を作る こともできるそうです)
1/7=0.142857142857142857.....
は6桁ごとに142857が繰り返されていますね?ところが
1/17=0.058823529.......
の場合はイコールの右側(電卓ですぐ計算できる部分だけ表示)は一見 するとまるでデタラメのようですが、 実は16桁ごとに同じものが現れ(詳細) ます(このような現象をとりあえず 周期性と読んでおきましょう)。現在は コンピュータも発達して、円周率の100万桁ぐらいは造作もなく計算し てしまいますが、例えば100兆桁ぐらいの周期性はないのでしょうか? 急いでパソコンを買ってきて、とりあえず1000兆桁ぐらい計算させて みたら、実は100兆桁ごとに周期性をもつことを発見!そしてで初めて 円周率の周期性を発見したことで
なんか、このように考えると夜もおちおち寝ていられなくなりそうですね?
実はよく考えてみると、この「周期性をもつこと」は分子、分母が整数で あるような「分数で現されること」と同じこと(詳細) が示せます。 そして、円周率はこのように分数で表すことは 絶対に不可能 なことが示せ ちゃうのです(1761年Lambert)。ああ残念!!!
中学3年ぐらいになると、多分教科書に2の平方根は分数では表せないこ が書いてあると思うのですが、じゃあ、同じようにして円周率についても 示せるのでしょうか?2の平方根の場合は、その鍵となるのは2乗して2 ということ。つまり x^2 - 2 = 0 という方程式(x^2はxの2乗の意味) の答えが2の平方根という事実でした。でも円周率はもっとたちが悪くて このような整数を係数とする方程式の答えにも絶対にならない(このような 数を超越数と呼びます)こと(1882年Lindemann) もわかるのです。
それにしても一体全体、本当の正確な値を誰も知らないような円周率をど うやって扱えばこのようなことがわかるのでしょうか?
実は円周率は分数そのものでは表せないものの、分数を無限個もってきて 足しあわせると表すことができる(以下の式)のです。
円周率=4 - (4/3) + (4/5) - (4/7) + (4/9) - (4/11) + (4/13)......
ここで、分子はいつも4で分母は奇数を順に小さいほうから並べ、+−の
符号は交代させながら足しあわせていきます。このような事実はニュートン
やライプニッツが発見した「微分積分」という数学の一分野で得られたTaylor
展開という関数を無限の多項式で表す手法から得られます。中学で習うy=x^2
のようなものは関数のなかでも(有限の)多項式で表せる非常に簡単なものの
一種です。円周率を扱うのには本当に無限でないと表せないような逆三角関
数と呼ばれるものの一種である
Arctan
(詳細)
を使います。このArctanを無限
の多項式で表すと次のようになります。
Arctan(x)= x - (1/3)x^3 + (1/5)x^5 - (1/7)x^7.....
和を取るときは符号が交代しながら行います。係数は分子が1で分母が奇数を 小さいほうから順に並べたものになっています。そして逆三角関数が名前からも 想像がつくように三角形に由来するものであることを使うとその図形的な意味から Arctan(1)=(円周率)/4
ということがわかり、結局、上で述べた円周率の表示が得られるわけです。詳しい ことを知りたい人は 岩波書店「解析概論」高木貞治著(ISBN4-00-005171-7 C3041 P2600E) 2600円 をご覧ください。対象は大学1ー2年なので中学生にはかなり難しいと思います が、最初はわからなくてもよいからボーとあれこれ眺めて 憧れ をつのらせておくと、段々 学校での勉強が進むにつれて、ある日突然稲妻のように 「憧れ」の閃光 が 心の大空 を突き 抜け、まるで爆発したその「憧れ」の爆風に突き動かされるかのようにドンドンわかる ようになります。それまで待てないという人は無鉄砲でもトライしてみてください。 まるで 装備もなしに一人でエベレストに登るようなもの ですが、大丈夫死にません!!
人生がつまんなくて死にたいなんて思っているあなた! どうせだからこんな無茶苦茶やって ごらんなさい。できなくたってアタリマエなんだからと思えば肩の力も抜けるし、そうや って無茶苦茶やっている自分があまりにもバカに思えてきて、しまいに自分がとてもカワイイ と思えてきます。エッ?自分がカワイイわけないって?別に人にいう必要はないんですよ。 自分でコッソリそう思っていたらいいんです。