フロンティア機能物質創製センターの目的

異分野の研究者の戦略的な連携と融合

これまでに新たに発見された革新的な物質群、例えば酸化物超伝導体・フラーレン・カーボンナノチューブ・グラフェンや光エネルギー変換・発光素子などは、新たな元素の組み合わせや結晶構造においてより高い超伝導転移温度・伝導性・変換効率などの高機能を実現し、さらに新物質系を創出できる可能性を明示しました。これらの新規な機能性物質の開発では、物理や化学などの異分野の研究者の競争と協調と、さらに異分野研究者の知識と発想の融合によって達成されたものです。

本学大学院物質理学研究科では、物理系と化学系などの多様な研究基盤・手法を持つ研究者が同じ建物内に同居して常に議論を戦わせながら共同研究を遂行できる環境にあり、物理系・化学系などの融合に基づく新機能・新物性開発を行う上で優れた研究環境にあります。これまでも個々の研究者同士で共同研究が行われてきましたが、本研究センターの設置により、本研究科に所属する物理系及び化学系研究者をより戦略的に連携・融合させることが可能になり、未知・未踏の機能・物性発現に向けた世界をリードする物質創製研究が推進できます。

プロジェクト研究の推進

本研究センターでは、物質開発、機能解析、理論研究ごとに組織は分離せず、本研究科の複数の研究グループが一つの研究課題に多角的観点から取り組むプロジェクト研究を推進します。

本研究センターの物質創製における異分野融合の特徴を効果的に発展させるため、国内外の研究機関及び企業との連携・共同研究を推進するとともに、マテリアルサイエンスの世界で活躍できる人材を育成します。また、近隣の最先端大型研究施設、SPring-8やスーパーコンピュータ京の効率的利用など、本学の利点を最大限生かした戦略的研究組織とします。

期待される研究成果

複数分野の融合にもとずく新しい観点から、強相関スピン系、強相関電子系、超伝導、強磁性、強誘電体、超高速光機能性、マルチフェロイクス、キラル磁性、キラル伝導などの重要課題に取り組みます。このため、これらの研究課題に新しい潮流を生み出すことが期待されます。また、新しい多重機能性・複合物性の発現とともに、それらの電子輸送・磁気特性を実験的・理論的に解明して、電子機能素子・分子素子開発への展開も狙います。