兵庫県立大学 ピコバイオロジー研究所

研究目標と概要

　

　生命現象はタンパク質の駆動する化学反応であると言えます。したがって、タンパク質の機能を解明することなしに生命現象を理解することは不可能です。タンパク質の機能はその機能中心を構成する各原子の空間配置と化学反応性がタンパク質の駆動する化学反応の進行に伴ってどのように変化するかを追跡することによって明らかにすることができます。原子の空間配置はＸ線構造解析により、化学反応性は赤外（ラマン）分光解析により解析することができます（図1）。Ｘ線構造解析法や赤外（ラマン）分光法をタンパク質に適用するためには、目的のタンパク質を細胞から純粋に取り出し（精製）、結晶化しなければなりません。この精製、結晶化はタンパク質の機能研究の成否を決定する最大の障壁の一つです。

　当研究部門は生命の維持のための最も重要な”化学反応”の一つである酸素呼吸の機構の解明のために、ミトコンドリア呼吸系のプロトンポンプ機能を持つ4種の膜タンパク質複合体（図2）の機能解析を通じて生命現象の本質に迫ることを目指しています。我々は本研究推進において、上述の種々の膜たんぱく質複合体の精製結晶化条件の開発に特に重点を置き、当部門の目的であるタンパク質結晶成長機構の解明に貢献することも重要な目標としています。また、ミトコンドリア呼吸機構の全容の解明のために個々の複合体の構造機能だけではなくそれらの間の相互作用の解析も並行して推進しています。

その他の研究

• NADH-ユビキノン還元酵素（複合体�T）
• チトクロムc酸化酵素（複合体�W）
• F_oF₁ATP合成酵素（複合体�X）
• ミトコンドリア呼吸鎖複合体の高次の相互作用解析

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CREST (戦略的創造研究推進事業）

　ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術

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基本姿勢

　当研究部門では、吉川信也特任教授と月原冨武特任教授を中心に、「世界を先導する研究を、学生を主体的に参画させて推進すること」を研究教育の基本姿勢として研究を勧めています。

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