[景勝地への案内書]

神秘に満ちた湖

まだまだたくさんありますが、僕の手に余りますので、例えば   岩波数学辞典第3版 を参考にして下さい。1万円弱と高いですが図書館 などで利用できるはずです。あるいは大学に入った青春の記念として 清水の舞台から飛び降りるつもりで買っても、必死で利用できるように 努力さえすれば十分元のとれる手応えのある名著です。(少なくとも一冊 で現代数学の広大な領域にわたる概観が展望できるというのはこの本ぐ らい。)いきなり総てを理解するのは無理ですが、目次を眺めたり、歴史 の部分の解説を読んだり、知らない言葉を索引(6種穎もあります)を 活用して調べたりしていくうちに段々活用できるようになります。

以下に先に述べた景勝地への案内本として適当と思われる 参考図書をいくつか列挙しておきます。


[参1]

数学が育っていく物語(全6巻) (志賀浩二 著)岩波書店 高校2年から大学 初年級向け。本としての厚みも適当で 特に推薦したい本。 6巻のタイトルは順に「極限の深み」、 「解析性」、「積分の世界」、「線形性」、 「方程式」、「曲面」となっている。 2巻目では「コーシーの定理」、5巻目 では「ガロワ理論」、6巻目では「多様体」 に関する解説がある。著者は専門書でも 非常に解説がうまいので定評がある。


[参2]

ガロワと方程式 (草場公邦 著)すうがくぶっくす7 朝倉書店 ほとんど必要な道具はこの本の中で準備してあるので勉強しやすいのが 長所。角の三等分などはこの本を呼んだ後で『可換体論(永田雅宜 著) 裳華房』2.11作図の可能性を読めばよい。


[参3]

複素関数三幕劇 (難波誠 著)すうがくぶっくす10 朝倉書店 三幕劇風(?)に複素関数論の発展の原動力にもなった具体的な関数を 主役に据えて、複素関数の持つ、解析と幾何が融合された面白さを解説した本。 合わせて『解析関数論』(楠幸男 著)広川書店を参照すれば理解は より深まる。


[参4]

多様体 (村上信吾 著) 共立数学講座19 共立出版 ...『可微分多様体』の基礎理論を丁寧に、そして『ド・ラームの定理』 や『複素多様体』がどういったものかというお話も書いてあり、 そこから、解析と幾何が融合されていく雰囲気も味わえるようになって いる。


[参5]

曲線と曲面の微分幾何 (小林昭七 著)裳華房 ...曲面の場合の『ガウス・ボンネの定理』を中心に直観的にも理解し やすい形で解説している。


[参6]

曲面の数学 (長野正 著)培風賠 …おおらかな立場から『コーシーの定理』、『ガウス・ボンネの定理』、 『リーマン面』、『位相幾何』といった幅広い領域の面白い話題を かなり薄い本にまとめた好著。その秘密はきっちりした論理より、 おおよそのアイデアを直観にうったえて解説した点にある。


[参7]

複素多様体論 (小平邦彦 著)岩波書店 ...数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞の日本人としての最初 の受賞者である著者が、著者達の開発した『変形論』を中心に据えて 『複素多様体』が『可微分多様体』との本質的な差違を見せはじめる あたりを丁寧に解説をした名著。


[参8]

代数函数論 増補版(岩沢健吉 著)岩波書店 ...格調高い古典的名著。代数曲線に中心を置いて如何にそこで見事 に代数と幾何と解析が融合・統一されていくかを堪能させてくれる本。 全部を理解するのはかなり大変であろうが、例えわからないところが たくさんあってもそれなりに感銘を受けるといわれている。これに 刺激を受けて数学を志した数学者も数知れずいる。


黄昏に明日を思う

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