広々とした大空と水平線のかなたへ
忙しい毎日から逃がれようと旅に出て、思いがけず美しい光景に
めぐりあい、言い知れぬ感動を覚えた経験が誰にもあるのでは
ないでしょうか。
そういった自分だけの貴重な体験は思い出として心の奥底に大事に
しまわれながらも、ある日ふっと浮かびあがってきて、まるで今そこ
にあるかのように感じられ、時にはうちひしがれた心に新たな力を
与えてくれることもあります。
数学という
心の旅
においても同じように感動を覚える、素晴らしい
「景色」(定理や思想)にめぐりあうことができます。しかもかな
り日常生活とかけ離れた世界であるだけに、その感動はより大きく
深いように思われます。
これからの君たちの大学生活を考える時、
友人達と楽しく時を過ごすことももちろん大事だと思います。しか
し、せっかく大学という学問を楽しんで勉強できる場を得
ながら、本来の数学の
持つ
『自由性』
、
『美しさ』
、さらには神秘的とさえもいえる
『調和性』
といったものに感動する体験を一つも持たずに大学を卒業
するとしたら、あまりにも勿体無い…そんな気がするのです。
そんなわけで、大学の4年間で学習できる範囲で特にそうい
った『美しさ』や『調和性』といった点で比較
的ポピュラーな数学の景勝地を
僕の知っている中から
幾つか挙げ、そこへの道案内をしてみま
した。どうかこの案内書を利用して本当に有意義な大学生活の思い出を
心の中に残していって下さい。もちろん、ここに挙げたもの以外に、
自分の嗅覚だけを頼りに冒険してみるのも悪くはないと思います。
また
今回紹介しなかったものでも
4回生ぐらいまでで
到達できそうなものもたくさんあると思いますので、誰か数学の先生を
捕まえてアドバイスをお願いしたら、きっと役に立つ情報を教え
てくれると思います。
美しき真理への遥かなる道のり
新たな出会いへ期待は高まる