兵庫県立大学 理学研究科 物質科学専攻

物質反応論Ⅱ研究室

Organic Chemistry Laboratory

研究内容

    Research


紹介

私たちの生活は、天然物から人工物までさまざまな有機物質に囲まれ、それらに支えられています。これらの物質の変換をつかさどる有機反応が、本講座の研究対象です。高度に制御された反応によって望みの物質を作り出すことは、反応の仕組みを理解することによって可能になります。そこで有機反応の仕組みを解明し、物質変換の原理を明らかにするとともに、鏡像異性体の作り分け、複雑な天然物の合成を行っています。

新規不斉合成反応の開発と天然物全合成

分子内反応は特異な反応性を示し、高い反応選択性も期待できます。この独特の性質を利用して通常の手法では困難な光学活性物質の不斉合成法を開発しています。 柔軟な不斉源を架橋に用い、分子内反応すると様々な光学活性物質が高選択的に合成できることを見いだしています。このキラル架橋反応を鍵反応として、生理活性天然物の全合成も 行っています。 

高選択的固体触媒反応の開発

固体触媒表面を有機化合物で修飾することにより反応選択性を改善する研究を行っています。キラル化合物で修飾した不斉固体触媒反応はこれまでに3種類の水素化 反応が95%以上の不斉収率を達成しています(その内の2つは我々の研究)。固体触媒は実用性が高く、医薬品原料などへの応用研究も展 開中です。現在、試薬としての市販化もされています。

反応活性種の反応挙動と反応制御

カルボカチオン、不飽和カルベン、環状アルキンなど求電子的な反応活性種を選択的に発生できる条件を見いだし、様々な求核種との結合生成反応を行い、その付加位置および立体選択性の制御を行っています。最近は超原子価ヨウ素に重点を置いて検討しています。また、強力な塩基であるグアニジンのキラル版を開発しました。この触媒はある特定の求核剤に有効であり、アルドール宿合やマイケル付加を立体制御します。