B. 核内レセプターとその関連因子による転写調節機構現在の研究のページへ

   核内ホルモン受容体スーパーファミリー(核内レセプター)は、リガンド依存性転写活性化因子群であり、その分子の多くは脂質をリガンドとしています。それらは多様な生物過程に関与していますが、特に脂質代謝やエネルギー代謝の調節は重要な機能と考えられています。
   
   核内レセプターの1つであるPPAR (ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体) は、クロフィブレートなどの抗高脂血症薬におけるペルオキシソーム増殖作用の標的遺伝子として発見された因子であり、主に肝臓における脂質代謝、糖質代謝に重要な役割を担っています。これはPPARのα型といわれます。PPARはα、γ、およびδの3種類のサブタイプが知られており、PPARγは脂肪細胞の分化誘導の鍵因子として機能しています。
PPAR1.jpg

   私たちはPPARの生理的機能の解析を目的として、その転写調節機構、共役因子の同定およびSUMO化による影響などについて研究をしてきました。最近では、核内レセプターのファミリーであるERR、Nurについて、脂肪細胞分化における役割や標的遺伝子特異性の決定機構などを解析しています。

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