磁化の量子化
(磁化プラトー)


スピンギャップは必ずしも磁場ゼロの基底状態だけではなく、有限の磁場中で生じる場合もあることが、理論的にも実験的にも最近解明されてきた。この磁場誘起スピンギャップは、磁化曲線のプラトーとなって観測されることから、磁化プラトー、あるいは巨視的な磁化の量子化と呼ばれている。この磁化プラトーには、単純にユニット・セルあたりのスピン多重度だけで説明できるものと、並進対称性が自発的に破れたスピン構造を伴うものとがあり、後者のメカニズムは簡単ではない。磁化プラトーは、大きいスピンの一次元反強磁性体、次近接相互作用のあるボンド交代鎖(ジグザグ鎖)、次近接相互作用またはボンド交代のあるスピンラダー系、直行ダイマー系等で生じることが知られている。自発的対称性の破れを伴う磁化プラトーの有力な起源としては、相互作用のフラストレーションがあげられる。