卒業研究テーマ

 

2009年度

μSQUID磁束計による単分子磁石の磁化量子トンネリングの観察

 超伝導の量子干渉効果を利用したSQUID素子(Superconducting QUantum Interference Device)は、非常に高感度に磁性体からの発生する磁束を検出することができる。マイクロメートルサイズに加工されたSQUID素子上に微小磁性体を直接載せて、磁化測定できる磁束計の開発を行う。また、その磁束計を使って、単分子で磁石の性質を示すMn12クラスター・マイクロ微結晶の磁化反転量子トンネリング現象の観測を試みる。

 

極低温走査型μSQUID磁束顕微鏡の開発

 近年、極低温(ミリケルビン)領域で、ナノスケール、ミクロスケールの表面現象を直接観察できる、STM,AFMなどの開発が盛んに行われている。μSQUID素子を低温で走査できるピエゾステージを開発し、ミクロスケールの磁性現象の観察を試みる。直径約700 nmの球殻磁性粒子などを観測に挑戦する。 

 

2010年度

マイクロSQUID磁束計測定回路の開発

 マイクロSQUID磁束計は超伝導量子干渉効果を利用した高感度磁束計で、マイクロ〜ナノメートルの微小磁性体の性質を調べる目的で開発している。特にナノスケール程度の磁性体で予想される磁化の量子力学的重ね合わせ状態を観測することが本研究の大きな目標である。より高感度、より多彩な環境(低温、強磁場)での測定を実現するために、新しい素子の性能評価及び最適な測定回路の開発を行う。

 

p波超流動ヘリウム3−A1相のスピンフィルターセルの製作

 近年、重い電子系物質などにおいて非従来型(非s波型)の超伝導状態に興味が持たれている。これに対し、液体ヘリウム3の超流動状態は古くからp波凝縮相であることが知られていて、モデル物質として広く認知されている。これまでp波超流動のうち、クーパー対のスピンがほぼ完全に揃ったA1相で、スーパーリークを使ったスピンフィルターの実験を行ってきた。よりスピンの揃った超流動状態を観測するためのセルの製作に挑戦する。

 

2011年度

新極低温冷凍機を用いたマイクロSQUIDによる微小磁性体研究

 マイクロSQUID磁束計は超伝導量子干渉効果を利用した高感度磁束計で、マイクロ〜ナノメートルの微小磁性体の量子力学的性質を調べる目的で開発している。新しく購入した希釈冷凍機を整備し、マイクロSQUID磁束計を使った極低温環境下での実験を行う。

 

p波超流動ヘリウム3−A1相のスピンフィルター実験

 近年、高温超伝導体、重い電子系物質などにおいて非従来型(非s波型)の超伝導状態が研究されている。これに対し、液体ヘリウム3の超流動状態は古くからp波凝縮相であることが知られていて、最近の研究のモデル物質として重宝されている。これまでp波超流動のうち、クーパー対のスピンがほぼ完全に揃ったA1相と呼ばれる相において、スーパーリークを使ったスピンポンプの実験を行ってきた。セルの改良を行い、スピンポンプ実験を行う。