体内に取り込んだ有機物を酸素を用いて異化し、生命活動のためのエネルギーを生産する過程。真核生物ではミトコンドリア呼吸鎖が酸素還元とATP合成を担う。
細胞呼吸を担う呼吸鎖電子伝達系は、基質の酸化(電子伝達)に伴い放出されるエネルギーを使って水素イオン(プロトン)を能動輸送する。エネルギーは膜を介したプロトンの電気化学ポテンシャル差へ環境に応じて効率的に変換され、ATP合成など様々な生命活動に利用される。
哺乳類ミトコンドリア呼吸鎖のシトクロム酸化酵素(Cytochrome c oxidase) を対象にして、そのエネルギー変換反応と反応制御のメカニズムを分子構造に基づいて理解することを目指しています。
細菌の呼吸鎖にはシトクロム酸化酵素と分子進化上類縁の末端酵素(Heme copper oxygen reductase superfamily)が存在し、様々な環境に適応したエネルギー変換を行う。嫌気呼吸を担う一酸化窒素還元酵素は、病原菌が宿主中で生存するための役割も担う。
髄膜炎菌の一酸化窒素還元酵素の構造機能解析から、呼吸酵素の分子進化と普遍性を理解することを目指しています。
目的のタンパク質を高純度に精製し、結晶化する。結晶にX線ビームを照射し、回折像を測定する。回折像から電子密度を計算し、分子構造モデルを組み立てる。結晶中での酵素反応に伴う原子レベルでの構造変化の観測が可能である。