1.太陽系の中の地球
a. 太陽系の構成と形成過程

太陽系の概観(図:太陽系)
太陽系は太陽、惑星、衛星から成る
惑星は全部で8個
 地球は3番目の惑星
太陽系の特徴
 惑星、衛星の公転軌道は、ほぼ共通の平面内にある
 全ての惑星が同じ向きに公転
 自転軸は公転の平面にほぼ垂直(天王星は例外)
 自転の向きも、金星と天王星を除いて同じ
このような構造は、太陽系の形成過程を反映

Q. 冥王星について、知るところを述べよ

[参考] 惑星の見直し
惑星の候補として2003UB313が発見されたのを契機に見直され、
「太陽を回り、重いために球状で、近くに衛星以外がない天体」
と定義された(2006年8月、国際天文学連合)。
冥王星は、類似の天体が近くにあるため、惑星でなく矮惑星とされた
(冥王星は直径が約2300kmで、軌道が海王星と交差。外来起源か?)

Q. 大きな惑星は何故球状になるか?


太陽系の形成過程(図:太陽系の形成) 太陽系は、星間物質(星間雲;ガスや塵)が集積して形成された  集積の原動力は重力(万有引力)  星間物質は、相互作用で運動をそろえ、全体が流体的に 集積が進むと、全体がもつ平均的な回転が強調される  回転は、おそらく銀河系宇宙全体の回転を反映  集積とともに、回転は早くなる;角運動量の保存則 回転方向にある物質は、重力が遠心力と釣り合って、集積がとまる  回転と垂直な方向では、集積が継続する。  物質の分布は、回転方向に伸びて、平べったくなる 中心部に星間物質が凝集して、太陽が生まれた 局所的な凝集によって、惑星が生まれた  凝集が始まると、重力が大きくなって凝集が更に進んだ  凝集する物質は、太陽に近い側で公転が早いので、自転が生じた  凝集によって、惑星は高温になった 太陽系は、約46億年前に、数千万年程度の期間で形成された Q. この形成過程をまとめて、以下のことを説明せよ 1) 惑星は何故ほぼ同一平面内に存在するか 2) 惑星は何故同一方向に公転するか 太陽系外惑星 宇宙には我々の太陽系以外にも、似たような恒星と惑星のシステムがある  1995年に最初に発見されて以来、120個位の惑星が見つかっている 検出の方法は恒星と惑星の相対運動;ドップラー・シフトなどで見る  恒星と惑星を直接分離して見ることはできない

惑星の分類  惑星のデータ
惑星    平均距離 公転周期 直径  平均密度  衛星の数 106 km   年 km g/cm3
水星 58 0.24 4878 5.4 0 金星 108 0.61 12104 5.2 0 地球 150 1.00 12756 5.5 1 火星 228 1.88 6794 3.9 2 木星 778 11.86 143884 1.3 28 土星 1427 29.46 120536 0.7 30 天王星 2870 84.02 51118 1.2 21 海王星 4497 164.77 50530 1.7 8
Q 表を見て、惑星を2つのタイプに分類せよ 分類 地球型惑星:水星、金星、地球、火星;小さくて、平均密度が大きい 木星型惑星:木星、土星、天王星、海王星;大きくて、平均密度が小さい

惑星の構造(図:惑星の構造)
地球型惑星は、岩石と金属鉄からなる。大気はあっても薄い
木星型惑星は、岩石と金属鉄のまわりを、HやHe等の固体が囲む
 HとHeは金属に、H2OやCO2等は氷に
 惑星の固体部分のまわりは、HやHeなどの厚い大気と海
天王星、海王星は、木星型であるが、大気と海はやや薄い
注意:宇宙空間には、H、Heの量が他の元素に比べて圧倒的に多い
 H 80%, He 15%, その他 5%

Q. 地球型惑星と木星型惑星は、平均密度が何故違うか?

惑星の形成過程と構造のタイプ
惑星の集積過程では、岩石や金属鉄などの重い物質が成長の核に
HとHeなどの軽元素は、重力と温度によって、保持の可能性が決まる
 惑星が大きいと、重力が強くなり、軽元素が保持される
 温度が高いと、気体分子は運動が活発で、重力を振り切って逃げる
木星型惑星は大きく、低温なので、多くの軽元素を含む
 平均密度は小さくなる
 天王星、海王星は、HとHeの保持力が木星や土星ほど強くない
地球型惑星は小さく、高温なので、軽元素を逃がしてしまう
 平均密度が大きくなる 
集積とともに重力が増すので、成長の差は更に助長される
 低温の木星型惑星と、高温の地球型惑星の差は、増大する
重力の大きさを反映して、木星型惑星は地球型惑星より多くの衛星をもつ

Q. 小さな条件の差は、どのようにして大きな構造の差を導くか?