森永速男(Morinaga, Hayao)


1957(昭和32)年1月15日生まれ

血液型 O型 Rh(-)

出身地 岡山県笠岡市(カブトガニが天然記念物として指定されている所として有名)

最終学歴 神戸大学大学院自然科学研究科地球環境専攻(博士課程)

専門分野 古地磁気・岩石磁気学、古環境学


研究履歴

 卒業研究、修士論文そして博士論文と一貫して、石灰洞窟内二次生成物(石筍や鍾乳石)の古地磁気・岩石磁気的な研究を行った。二次生成物は磁性が小さく、超伝導磁力計が古地磁気研究に用いられるようになってはじめて、その磁化の素性がわかるようになった。 
 神戸大学には、卒業研究当時すでにその磁力計があり、またたまたま石筍を入手できたこともあり、日本で先駆的に石筍の岩石磁気学を研究テーマとすることができた。はじめのうちは、いろんな意味で試行錯誤の連続であった。石筍を用いた地磁気永年変化と古気候の復元について論じた博士論文を完成したころになってやっと、古地磁気研究に適した試料の選別や測定法など、研究を進める上で重要なことがわかるようになった。そのあと、神戸大学に留学してきた現中国地質大学地球科学学院の劉育燕教授が中国の石筍で同様な研究を行い、さらに的確な研究手法や地磁気永年変化復元の限界など、いろいろなことを明らかにしてくれた。この研究は世界的に見ても先駆的であったが、残念ながらカナダの研究グループに先を越されていた。
 その後、いろいろな岩石の古地磁気学を手がけてきた。その中でも南太平洋仏領ポリネシアの島々で行った磁気測定と古地磁気永年変化研究、チベット高原にある色林錯湖の湖底堆積物を用いた過去14,000年間の古環境解析、中国東部の古生代以降のテクトニクス復元を目指した古地磁気研究など、試料採取で現地を訪れ、大変思い出深いものが数多くある。

現在の研究テーマ

 手元にはスピナー磁力計(感度が超伝導磁力計の100分の1程度)しかないので、できるだけ磁性の大きな岩石や堆積物を対象に以下のような研究テーマを進めている。
  1. 中国東部の中生代赤色砂岩を用いた中国東部のテクトニクス
     これは、インド-アジアの衝突による中国東部の変形の有無を検出しようとする試みで、前述の劉教授との共同研究である。
  2. 中国地方に分布する中新世以降の火山岩を用いた古地磁気永年変化の研究
     これは、場合によっては日本海拡大(約1,500万年前)以降のテクトニクスを見出すことにつながるかもしれない。同研究室の後藤さんとの共同研究である。
  3. 主に古地磁気・岩石磁気学を用いた考古科学
     これは、古地磁気・岩石磁気学的な研究手法を考古学に適用して、考古学が明らかにしたいと思っている問題を解こうという試みである。現在は主に被熱遺構(焚き火跡など)の検出、遺跡の年代決定、遺物の産地同定などを手がけている。兵庫県下の考古学関係の方々と「考古科学談話会(Symposium on Archaeological Science, SAS)」を設立し、情報交換・共同研究をしている。

教育・研究で目指していること

 地球という天体のすばらしさを認識してほしいと思う。講義の中でそのことが伝わるよう努力しているつもりであるが、なかなか難しい。どれくらい伝わっているやら・・・ 4年生から研究室に配属してくる学生には、主体的に研究する意味や面白さなどがわかるようなテーマを選び、進めてもらうようにしているし、今後もそうしていきたい。たった1年で伝えることは難しいが、学生とできるだけたくさん接して、お互いの信頼関係を早く作ることで、卒業するころには曲がりなりにもわかってくれていると感じている(実際は不明)。

これまでの主な研究業績

趣味

  1.  海水魚や無脊椎動物(サンゴなどの海洋生物)の飼育にこっている。長男誕生を理由に金魚からはじめた魚の飼育、それ以降熱帯魚、海水魚を経て、現在は無脊椎動物の飼育が中心となっている。育てることの難しさは子育てに似るが、そこが魅力なのだと思う。
  2.  子育て。趣味といったら子供が怒るかもしれないが、大げさに言えば、子供や人を育てることが自分が生きている意味と考えている(そういう意味では大学の教員には向いていないと思う!?)。特に自分の子供は生涯かけて完成させるべき大切な「作品」と位置付けている。ただし、子供にとっては迷惑な話だろうが・・・このように書くと、ずいぶん子供に手をかけているという印象をもたれるかもしれないが、必ずしもいい作品を仕上げるときに、たくさん手をかけたほうが良いとは限らない。それが生き物(ごめんな、子供たち)を育てる難しさであり、面白さなのだと思う。
  3.  家族と旅行をすること。だんだんと子供が成長してきて、付き合ってもらえなくなりそうであるが、今のところがんばっている。もし、そうなっても夫婦では続けていきたいと思っている。

家族

妻1人、子供2人(ともに男)、海水魚・淡水魚・無脊椎動物多数、オオクワガタのつがい