3)硫酸還元に関わる酵素 [ATPスルフリラーゼ、異化的APS還元酵素、異化的亜硫酸還元酵素]

硫酸還元細菌は数十億年前の酸素が無い環境で繁栄していたと考えられています。酸素からエネルギーを得るかわりに、硫酸還元細菌は硫酸を最終的に硫化水素まで還元することでエネルギーを得ています(硫酸呼吸)。これらの過程において3つのタンパク質が重要な役割を果たしています。最初の過程である硫酸イオンSO42-からアデノシンホスホ硫酸(APS)への変換はATPスルフリラーゼによって行われます。第2段階では、APSから亜硫酸イオンSO32-への還元は異化的APS還元酵素(APSr)によって行われます。第3段階では、異化的亜硫酸還元酵素(Dsr)が亜硫酸イオンを還元し、最終的に硫化水素となります。我々はこれらのタンパク質群の分子レベルでの立体構造を明らかにすることで硫酸還元メカニズムを解明しようと研究を行っています。この硫酸代謝メカニズムを分子レベルで解明することは初期生命のエネルギー獲得方法の理解につながります。