(1)     水素分子を分解・合成する金属タンパク質 [ヒドロゲナーゼ]

 

ヒドロゲナーゼは水素分子(H2)をプロトン(H+)と電子(e-)に分解する反応、またはその逆反応であるプロトンと電子から水素を合成する反応を触媒する金属酵素です。ヒドロゲナーゼは活性中心の金属錯体によって区別されていて、それぞれ[NiFe]ヒドロゲナーゼ、[FeFe]ヒドロゲナーゼ、[Fe]ヒドロゲナーゼと呼びます。[NiFe]ヒドロゲナーゼは主に水素を分解する反応が得意であるのに対し、[FeFe]ヒドロゲナーゼは水素を合成する反応を主に触媒します。我々は、[NiFe]ヒドロゲナーゼと[FeFe]ヒドロゲナーゼの反応機構の解明を目指して研究を行っています。ヒドロゲナーゼの利点は、高価で希少な金属(Pt)を使わずに、鉄といった地球上にありふれた金属を活性中心に持っていることです。ただし、酸素雰囲気下で活性が阻害され易く、実用的なレベルでの安定性に課題があります。酸素雰囲気下で活性を保持できるようなヒドロゲナーゼの酸素耐性機構についても研究を進めています。

図1. [NiFe]ヒドロゲナーゼ

2. [FeFe]ヒドロゲナーゼ